アメリカで急成長中のエドテック・スタートアップが、関連企業の買収を次々と進めている。
遊びを中心とした学習で子供の可能性を広げるアメリカのBrightCHAMPSが、シンガポールで子供向けに英語教育やコミュニケーション教育を提供するScholaを1500万ドルで買収(現金および株による買収)したと発表した。
BrightCHAMPSは、2022年6月に同じくシンガポールのエドテック企業Education 10Xを買収しており、今回の買収は2度目となる。また同社は、2023年度にアメリカ、イギリス、中東・北アフリカ(MENA)、東南アジア(SEA)、インドでエドテック企業の買収を行うために、1億ドルを投資するとも発表している。
遊びを中心とした学習で子供の可能性を広げる、BrightCHAMPS
BrightCHAMPSは、アメリカに本社を置くエドテック・スタートアップだ。インド工科大学バラナシ校を卒業したRavi Bhushan氏により、2020年7月に設立された。
同社は6~16歳の子どもを対象に、コーディング、金融リテラシー、ロボット工学などの分野で毎月30万回の授業を実施している。
同社の目的は、「学校教育と子どもたちが求める学習ニーズとの間のギャップを埋める」ことだ。クイズなどの遊びを中心とした学習により、あらゆる子どもの内なる可能性を育み、技術的、金融的、社会的な面でスマートな(かしこい)子どもを育成するという。
同社の成長は驚異的だ。同社は、70 をはるかに超える NPS (ネットプロモータースコア;顧客ロイヤルティの指標)を維持しながら、90%超の驚異的な学習修了率と、80%を超える更新率をマークしている。
同社の評価額は、2022年8月時点で6億5000万ドルにもなる。また、同社はこれまでに約6300万ドルを調達している。
英語教育やコミュニケーション教育に力を入れる、Schola
シンガポールに拠点を置くScholaは、Facebookで広告・マーケティング事業に関わっていたAditya Gupta氏とNhu Tran Le Thanh氏により、2019年に設立された。自信に満ち溢れ、創造的で、コミュニケーション能力の高い次世代の子供たちを育てることをミッションとしている。
同社は4~15歳の子どもを対象に、グローバルなキャリアを成功させるために重要なさまざまなコースを、1対1のライブ授業として提供。これらの授業により、英語、コミュニケーション、人前でのスピーチ、リーダーシップ、プレゼンテーションといった次世代型のスキルが身につくという。
Scholaが提供する授業は、実際に英語を話す練習をすることに重点が置かれている。その結果、顧客満足度は常に9.6点/10点と業界トップクラスを維持している。授業は、TEFLやTESOLの教育資格を持ち、ネイティブレベルまたは同等の英語力を持つ講師が担当。現在、ベトナム、タイ、韓国、日本、マレーシアなど、12カ国の子どもたちに授業を提供している。
今後もエドテック企業の買収を続けると発表する、BrightCHAMPS
今回の買収に関して、Scholaの共同設立者兼CEOであるAditya Gupta氏は次のようにコメントしている。
「英語を母国語としない国や家庭の子どもたちの中には、他のあらゆる面で完璧な能力を備えているにもかかわらず、高等教育やキャリアの機会で見落とされてしまう子があまりにも多い。私たちの目標は、Scholaで学んだ子供たちが、英語力不足によって夢を阻まれないようにすることです。私たちは、共通の理念と目的を持つBrightCHAMPSと手を結ぶことができ、とても嬉しく思っています」
また、BrightCHAMPSの設立者兼CEOであるRavi Bhushan氏も、買収の成果に期待を寄せている。
「Scholaの授業で得られる、自信を持ち、首尾一貫して創造的にコミュニケーションする能力は、子どもたちにとって重要なライフスキルであり、大人になってから成功するための必須条件です。非常に優秀なScholaチームがBrightCHAMPSとともにこの分野をリードしてくれることを、私たちはとてもうれしく思います」
エドテック企業の買収を次々に進める、BrightCHAMPS。今後、子ども向け教育の分野で非常に力のあるエドテック企業となることは間違いないだろう。同社の今後の動向に注目したい。
参考記事
BrightCHAMPS Acquires Singaporean English Learning Platform Schola for $15M
Edtech Startup BrightCHAMPS Acquires Singapore Based Schola In A $15 Mn Deal
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