学習障害やADHD、自閉症など、発達上の困難を抱える子どもたちを対象とした教育プラットフォームに関するニュースです。
特殊教育(教育上特別な取り扱いが必要な子どものための教育)用の教育プラットフォームを提供するインドのSpEd@homeは9月28日、AIベースの新たな教育プラットフォーム「SPEED2.0」を発表しました。現在、同社のHPから無料のデモバージョンが入手できます。
同社は新たなプラットフォームによって教育を民主化し、世界中の子どもたちが特殊教育にアクセスしやすい環境をつくりたいとしています。
(アイキャッチ画像の出典:SpEd@home)
特殊教育ソリューションを展開する、SpEd@homeとは
SpEd@homeは、インド・ムンバイを拠点とするエドテック・スタートアップ。学習障害やADHD、自閉症など、発達上の困難を抱える子どもたちを対象とした特殊教育に関する製品やサービスを提供しています。
2022年9月25日に設立2周年を迎えた同社は、この2年の間に拠点を7ヵ国に広げ、100以上の学校を支援し、1000人以上の教育者を教育し、2000人以上の子どもたちにサービスを提供してきました。200人を超える世界規模の専門家ネットワークを武器に、現在も事業を広げています。
創業者の1人であるDhaval Mody博士は、ホメオパシーや臨床心理学、カウンセリングなどの分野で豊富な経験を有し、「テクノロジーと行動科学の架け橋」として活動する専門家。現在はSpEd@homeのCEOのほか、インドのEラーニング・プロバイダLearn StudioのCEOも務めています。
特殊教育用の新しいプラットフォーム「SPEED2.0」
SpEd@homeが今回発表した新たなプラットフォーム「SPEED2.0」は、SpEd@homeがこれまで提供していたバージョン「1.0」を強化したもの。特別教育ソリューションを身近なものにするAIベースのプラットフォームで、特別なニーズを持つ6~13歳の子どもを対象としています。
「SPEED2.0」は、これらの子どもたちが基礎的な読み書きや計算を習得し、効率的な学習曲線を描けるように設計されているとのこと。子どもの特性を評価・分析して、個別最適化されたサービスを提供する点も特徴です。
以下に、「SPEED2.0」のユニークな特徴をまとめます。
・子どもの能力を把握
・子どもの基礎的な読み書き・計算能力の達成度合いを把握
・従来の評価ツールよりもはるかに高速な評価が可能(30分~1時間程度)
・子ども1人1人に合わせたオーダーメイドの教育プログラムを作成
・視覚や聴覚、触覚など、多感覚的な環境を提供
・魅力的な対話型のワークシートを用意
・セラピストや特殊教育専門家などとのライブセッションを提供
「SPEED2.0」で提供されるモジュール
「SPEED2.0」には、「子ども向け」と「学校向け」の2種類が存在します。
「子ども向け」として提供されているのは、「評価(Assessment)」「セラピー(Therapy)」「スキル開発(Skill Development)」の3種類です。それぞれの概要を以下に示します。
プログラム | 概要 |
評価 | ・子どもの強みや学習曲線、習熟度などを分析して、最適な学習戦略を決定する。 ・感覚神経や運動神経などの発達までも詳細に評価する。 |
セラピー | ・子どもたちが自立した生活を送れるよう、専門家や特殊教育者がチームを組んでサポートする。 ・科学的根拠に基づいたアクティビティや楽しいゲームを通じて、運動スキルや知覚、学習能力などに働きかける。 |
スキル開発 | ・対話型プログラムで、子どものスキルを開発・向上させる。 ・文字の書き方を改善するプログラムや、リーディング能力を向上させるプログラムなどがある。 |
また、「学校向け」には「オンライン版リソースルーム」および「教員教育プログラム」、「スクリーニング&評価プログラム」が提供されています。
プログラム | 概要 |
オンライン版リソースルーム | ・従来の伝統的なリソースルームのあり方を変革する。 ・専門家などのチームによる包括的なサポートを365日提供。 ・リアルタイムのセッションを400以上用意。 |
教員教育プログラム | ・「ストーリーテリング」や「リーダーシップ」、「学習障害・ADHDとその改善」など、さまざまな教育プログラムが用意されている。 |
スクリーニング&評価プログラム | ・子どもの能力や発達を見極めるための、使いやすいオンラインプラットフォーム。 ・NIPUN BHARATによりサポートされている。 |
(※リソースルーム:特別なニーズを持つ子どもに対して、学校内で個別の補充指導といった学習支援を行うための部屋)
障がいを持つ子どもたちへの教育機会を
新型コロナウィルスの大流行により、障がいを持つ子どもたちの教育機会は特に大きく減少しました。しかし、これらの子どもたちに対応した包括的なオープンラーニングソリューションや遠隔教育ソリューションは、ほとんどないのが現状です。ユネスコはこの問題を解決するため、関連プログラムなどに力を入れています。
SpEd@homeが提供する教育プログラムは、障がいを持つ子どもたちが直面している教育格差を解消するための1つのソリューションとなるでしょう。
参考記事
SpEd@home Introduces All-New Learning Management System – SPEED 2.0 Platform
SpEd@home Celebrates Two Years of Redefining Equitable Education for Children with Special Needs
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