AR技術を活用した体験型の学習が、起業家教育にも活用され始めています。
2022年12月9日、米国の非営利団体Success Through Technology Education (STTE) Foundation、ニューメキシコ州立大学・Arrowhead CenterのHunt Center for Entrepreneurship、WebAR技術プロバイダーのGeenee ARは、AR技術を活用した起業家教育プログラム「Unicorn Academy」をスタートしました。
本プログラムでは、ARアプリなどは不要。QRコードを読み込むだけでコンテンツにアクセスでき、起業家精神やビジネスの構築方法などを学ぶことができます。
(アイキャッチ画像の出典:プレスリリース)
若者の起業家精神を育成する「Unicorn Academy」とは
Unicorn Academyは、ビジネスの立ち上げに興味がある13歳~18歳程度の学生を対象とした起業家教育プログラムです。現在、英語とスペイン語でサービスが提供されています。
このプログラムでは、物理的な「教科書」を使います。教科書内にはQRコードが記載されており、このQRコードを読み込むとブラウザ上でARが立ち上がり、ホログラムの教師が現れて授業をしてくれるのです。QRコードを読み込めさえすれば、どのデバイスからもコンテンツにアクセスできます。くわしくは、以下のプログラム紹介動画をご覧ください。
学生たちは本プログラムを通して、ARで人間中心のソリューションをつくることについて学びます。最終的には、ARを使った独自ビジネスやそれに付随するマーケティングコンテンツの開発にも取り組めるそうです。
また、現在公開されている第一弾の教科書には、Tesla、Nike、Instagram、TikTokといった主要企業のデザイン思考やビジネスモデルキャンバス(※ビジネス設計のためのフレームワーク)を学べるARワークも含まれています。最終的には、自分自身のビジネスモデルキャンバスを作成することを目指します。
Unicorn Academyのページには、ビジネスモデルキャンバスを構成する9つの要素(Squad、Prob、Fire、Influencers、Drip、Grades、Bread、Broke、Clout)を解説した動画も掲載されています。これらの動画にも、上記教科書のQRコードから必要に応じてアクセスできる設計になっているようです。
Unicorn Academyを活用する3つのメリット
プレスリリースでは、Unicorn Academyを活用する3つのメリットが紹介されています。
- 高校生以下の教育分野では、個人情報保護が必須である。そのため、Unicorn Academyにアクセスする際は個人情報の提供は不要。
- Unicorn Academyでは、学習時にARアプリのダウンロードは不要。
- 体験型学習では、教材の90%を記憶できることが統計で示されている。これはUnicorn AcademyのAR体験学習にも当てはまり得る。
ブラウザ上でXRを実現する、WebAR技術
Unicorn AcademyのARコンテンツを作成しているのは、WebAR技術を提供するGeenee AR。2015年に創業された米国のテクノロジー企業で、技術者でなくてもWebAR体験をかんたんに構築できるノーコード・プラットフォームを運営しています。
同社が提供するWebARとは、ブラウザ上でXRを実現する技術のこと。専用のアプリがなくても、モバイルブラウザから簡単にXR体験ができます。同社のサービスを活用すれば、以下のようなコンテンツが作成できるそうです。
テクノロジーは、次世代の起業家を育てるための強力なツールだ
公立学校の学習カリキュラムとは異なり、起業家精神の教育方法に関しては確立されていない面も多くあります。Unicorn AcademyをサポートしているHunt Center for Entrepreneurshipは、「次世代の起業家を育成するための強力なツールはテクノロジーである」と考え、自身の支援プログラムにAR体験を導入することを重視しているそうです。
「最先端技術」と「起業」。親和性の高いこれら2つを組み合わせたUnicorn Academyは、新たな起業家を生み出す革新的なプラットフォームとなるのでしょうか。今後どのようなコンテンツが追加されるかも含めて、注目ですね。
参考記事
Entrepreneurship Education Enters the Metaverse
Introducing Unicorn Academy, an AR-Powered Education Program for Young Entrepreneurs
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