最先端の学習プラットフォームを提供するDiscovery Educationが、動画によるインタラクティブな科学教育に力を入れるPivot Interactivesを買収

2023 3/28

2022年9月7日 2023年3月28日

エドテック業界内部での企業買収が続いている。

グローバルなエドテック企業Discovery Eductaionは先月、子どもたちに動画による科学教育を提供するPivot Interactivesを買収したと発表した。買収条件は明らかにされていない。

Discovery Eductaionは、先月半ばに5～13歳向けのオンライン算数ツールを手がけるDoodleLearningも買収している。2022年8月だけで、エドテック企業2社を買収したことになる。

またDiscovery Eductaionは、過去にもMystery Science、Spiral、Inspyroなど数社を買収している。

（アイキャッチ画像の出典：Discovery Education）

エドテック企業の買収を続ける、Discovery Educationとは

Discovery Educationは、最先端のデジタルプラットフォームにより、幼稚園・保育園児～高校生の教室学習をサポートする世界的なエドテック企業だ。全世界で約450万人の教育関係者と4500万人の生徒にサービスを提供しており、そのリソースは100以上の国や地域からアクセスされている。

科学現象の探究に生徒を参加させる、Pivot Interactivesのインタラクティブ・コンテンツ

ミネアポリスに本社を置くPivot Interactivesは、物理の教員であるPeter Bohacek氏と物理学の教授であるMatthew Vonk氏によって2012年に設立された。現在、科学教師や学生からなるチームで運営されている。

同社は、幼稚園・保育園児～高校生に向けて、インタラクティブな動画（Interactive Video）を使った実践的な科学教育を提供している。講義やスライド、ドリルだけで科学を教えるのでは不十分だと、同社は言う。科学現象の探究に生徒を積極的に参加させることで、生徒の科学的な実践スキルを向上させることが重要なのだ。

同社が提供するインタラクティブ動画（Interactive Video）の例を紹介しよう。以下の動画（注：本記事に掲載しているのはスクリーンショットのみ）は、層状の水流に切れ目を入れて水流の速度を測定する実験を記録したものだ。動画にはさまざまな「ツール」が用意されており、生徒たちは動画内にツールを配置するなどして学習を進める。例えば、「ものさし」ツールを使用して、層流の幅を測定することもできる。これが、「インタラクティブ（参加型）」な動画なのだ。

同社設立の経緯について、Peter Bohacek氏はこう語っている。

「2012年、私は自分の授業にインタラクティブな動画を取り入れる試みを始めました。その結果が非常に有望で、動画の能力を拡張する方法を模索する必要が出てきたため、Pivot Interactivesを設立したのです」

現在、世界中の教師がPivot Interactivesのプラットフォームを活用しており、100万人以上の生徒が現象や科学の実践について学んでいる。

Pivot Interactivesのコンテンツが、Discovery Educationのパートナー校に配信される

今回の買収により、Pivot Interactivesのコンテンツが、Discovery Educationのサイエンス系コンテンツ（Mystery Science、Science Techbookシリーズ、STEMなど）を補完することになる。

Discovery EducationのCEOであるScott Kinney氏は、今回の買収について次のようにコメントしている。

「Pivot Interactivesは、市場にある他のデジタル・インタラクティブ教材とは異なり、アニメーションではなく実際の実験映像を活用して概念を探究します。そのため、教師は学習サイクルのあらゆる段階で、現象に基づく学習を行えるのです。今回の買収により、当社は、パートナーである学校のシステムに現象ベースのアクティブラーニング・ツールを提供できるようになり、より大きな影響を与えられるようになりました」

Pivot Interactivesの共同設立者であるMatthew Vonk氏もまた、買収による好影響を期待しています。

「Pivot Interactivesのチームは、あらゆる学習者の将来の成功に貢献するというDiscovery Educationのミッションを共有しています。Discovery Educationの一員として、国内および世界中の科学教育を改善するためにさらに良い立場に立てると信じています」