チェス界における最高の称号、「グランドマスター」。今回は、そんなグランドマスターをはじめ、豊富な知識と経験を持つ国際的なプレイヤーからチェス・レッスンを受けられるプラットフォームに関するニュースです。
2022年9月19日、オンラインのチェス・レッスンを提供するインドのEight Times Eightが、プレシードラウンドで500万ドルの資金調達を行いました。この資金は、製品開発の加速や新メンバーの採用、学習管理システムの開発、技術スタックの増強などに充てられます。
オンライン・チェス・レッスンを提供するEight Times Eightとは
Eight Times Eightは、インド・ケーララ州に拠点を置くエドテック・スタートアップ。国際レベルのチェス・プレイヤーである6人の大学生によって、2020年に創業されました。
同社のミッションは、「子どもたちの間にチェスを普及させることで、子どもたちのライフスキルを向上させる」こと。これを実現すべく、子どもたちにインタラクティブなチェス・トレーニングを提供しています。トレーニングの参加者は日を追うごとに増えており、現在はインド、アメリカ、ヨーロッパ、カナダ、シンガポール、中国、中東など、20ヵ国以上の国に参加者がいるそうです。
同社は、チェスを学べば以下のような能力が身につくと言います。チェスを学べば、ゲーム能力以外にもさまざまな能力を身につけることができるのです。
同社の大きな武器のひとつは、インド出身のグランドマスターS. L. Narayanan氏が監修した独自のトレーニング・プログラム。S. L. Narayanan氏は、2015年にインドで41人目となるグランドマスターの称号を獲得した実力者です。コモンウェルスゲームズ(※)の銀メダリストであり、チェス・オリンピアード(※)のインドチームメンバーでもあります。同氏は、Eight Times Eightのブランド・アンバサダーも務めています。
同社のトレーニング・プログラムは、「KING」と「QUEEN」の2種類です。基本的なプログラム構成(毎週のオンライン・トレーニングや月例のグランプリ大会、練習試合、メンターシップ制度など)は同じですが、オンライン・トレーニングの時間に違いがあります(「KING」は毎週2時間、「QUEEN」は毎週1.5時間)。
ほかにも同社は、個別指導やグループ指導、奨学金制度、長期会員制度、放課後プログラムなど、さまざまなアクティビティを用意しています。子どもたちを世界一のチェス・プレイヤーに育成するため、多方面から子どもたちをサポートしているのです。
また、同社はインド初のチェス・キットの発売を予定しています。このキットは、美しいデザインのチェス盤、チェス・ワークブック、チェスのアニメーション・ビデオで構成されており、チェスを楽しく学習できるよう工夫されているそうです。
また、同社は物理的なチェス教室の開設も計画していると言います。オンラインとオフラインのハイブリッド・トレーニングへの移行を将来的な目標としているようです。
(以下は、チェス・キットの発売に関する同社Instagram上の投稿)
「チェスは、人生を変える重要なライフスキルだ」
「チェスは知的なゲームで、賢い人だけが楽しむものだ」と思っている人もいるでしょう。Eight Times Eightは、そんな「チェス神話」を覆して、多くの子どもたちにチェスを楽しんでもらいたいと言います。
同社CEOのAbhijith氏は、次のようにコメントしています。
「チェスは単なるゲームではありません。重要なライフスキルであり、個人の人生を静かに変化させる可能性を秘めています。チェスは、ボード上でもボード外でもチャンピオンを生み出せるのです。今回の資金は、チェスを普及させるという私たちの夢に確実に寄与するものです。私たちは世界中にコミュニティを築いており、その専門的な知見は必ずや有益なものとなるでしょう」
8×8 = 64マスの盤上で繰り広げられる知能ゲーム、チェス。その可能性を教育に活かそうと挑戦を続けるEight Times Eightの動向に、今後も注目です。
参考記事
Eight Times Eight, a Kerala-based edtech startup raises $5 million in pre-seed funding
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