「ストーリーの力」を幼児のSTEAM教育に活かす、注目のエドテック・スタートアップがある。
フィンランドで幼児向けのSTEAM教育コンテンツを提供するKide Scienceが、ブリッジラウンドで100万ユーロを調達した。本ラウンドはSparkmindが主導し、Tesi (Finnish Industry Investment Ltd)が参加したもの。さらに、今回調達した資金にはBusiness Finlandからの研究開発ローンも含まれる。
今回の調達により、同社の調達額は320万ユーロに到達した。
同社は今回の資金を使用して、他科目のコンテンツ作成を進める予定だという。また、既存コンテンツのブラッシュアップや、アメリカにおける新たなパートナーシップ構築やホームスクーリング市場の開拓などにも力を入れる計画だ。
(アイキャッチ画像の出典:Kide Science社HP)
ストーリーの力をSTEAM教育に活かす、Kide Scienceとは
Kide Scienceは、フィンランド・ヘルシンキを拠点とする2017年創業のエドテック・スタートアップだ。3歳~8歳の子供を対象としたSTEAM教育コンテンツを提供している。
Kide Scienceが提供するコンテンツの特徴は、子供たちに「ストーリー」と「遊び」を取り入れた体験型・探求型教育を提供する点だ。あらかじめ用意した知識を、静かに座って吸収させるのではない。子供中心の学習アプローチを取り入れて、子供の「不思議な出来事に驚く感性(sense of wonder)」を引き出し、さまざまな問題を探求させるのだ。これにより、問題解決能力からコミュニケーション能力まで、生涯にわたり必要となる重要なスキルを子供たちが幅広く身に付けることを目指す。
同社は、何百種類ものレッスンを提供している。どのレッスンも、身の回りにある材料でかんたんに実施可能だ。
例えば「What happens to salt in water?」というレッスンでは、「キッチンで料理をしている間に、誰かが塩を盗んだ」というストーリーが用意されている。子供たちはこのストーリーをに導かれて、「塩を水に溶かす」科学実験を行うことになる。この実験に必要な材料は、台所で全て調達できる。
5年間の研究成果に基づく教育プログラムを、科学以外にも展開
Kide Scienceは5年の学術研究を経て、3人の女性(Jenni Vartiainen、Sari Hurme-Mehtälä、Aino Kuronen)により創業された。
科学以外の分野への進出に関して、Kide Scienceの原点となる博士論文を執筆したJenni Vartiainenは、以下のように語っている。
「私たちの研究とお客様からのフィードバックは、子どもの想像力が科学だけでなく、より多くの分野の学習に役立つことを示しています。物語や遊びを通じた体験型学習があらゆる分野で有効であることを示す、本当に説得力のある証拠があるのです。私たちは、このような体験型学習が数学、言語、社会的・情動的学習、社会科などのスキルを伸ばすのに役立っていることを確認しています。これは本当に素晴らしいことです」
国内外から評価される、Kide Scienceのコンテンツ
2022年6月、Kide Scienceは国際市場向けの最高の学習ソリューションとしてFirst Education Finland Awardを受賞した。コンテンツのインパクトや革新性、教育学的な品質、利便性、サポート体制などが評価されての受賞だという。
また、同社はDreamWorksの「Gabby’s Dollhouse(ギャビーのドールハウス)」とパートナーシップを結び、さまざまな提携レッスンを作成・提供している。さらに、書籍やテレビ番組の制作にも活動の場を広げている。
長年の研究成果を元に、子供たちに体験型・探求型学習を提供するKide Science。これまでの常識をくつがえす同社の学習コンテンツが、フィンランド内外から多くの注目を集めている。
参考記事
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